BPJ β-00132026-08-26FEATURE約4分
BPJ FEATURE|編集長

ベータ版、最終号。ここから先は、印刷を通して世界を見る

文星閣という東京の印刷会社が運営していますが、オウンドメディアではありません。何を続け、何を直していくかを書きます。

Beyond Printing Journal のベータ版は、この号で終わります。特別無料号として、購読の有無にかかわらず全文を公開します。 この数か月、毎日2本の朝刊・夕刊と、月次の市場レポートを出し続けました。読んでくださった方に、まず礼を言わせてください。

AIで集め、現場で考え、印刷の未来を言葉にする。

ベータ版、最終号。ここから先は、印刷を通して世界を見る

この媒体は何なのか

Beyond Printing Journal(BPJ)は、東京の印刷会社文星閣が運営するメディアです。文星閣は1948年の創業で、今年で78年になります。

ただし、これはオウンドメディアではありません。

自社の設備や実績を宣伝する場ではなく、印刷を軸に世界の動きを読むための媒体です。記事の最後に「ご相談ください」と書かないのは、そう決めているからです。読者が受け取るべきものは営業ではなく、判断の材料だと考えています。

だから、文星閣にとって不都合な数字も載せます。紙が減っていること、印刷会社が毎月倒産していること、自動化しても人が減らない現場のこと。都合の良い話だけを並べた媒体は、いずれ誰にも信用されません。

印刷を通して世界を見る。世界を通して印刷を見る

BPJの視点は、この2つの往復にあります。

印刷を通して世界を見る。 世界の出来事の裏側には、たいてい印刷物があります。選挙の投票用紙、医薬品の添付文書、輸出品のラベル、応募はがきの同意文面、災害時の掲示。制度が変わるとき、最初に物理的な形を変えるのは紙です。だから印刷の側から見ると、世界の変化が「いつ・どこで・誰の手間として」現れるかが見えます。

世界を通して印刷を見る。 逆もまた真です。印刷業界の内側だけを見ていると、値上げと人手不足の話で終わってしまいます。EUの規制、米国の物価、AIのデータセンター、物流の労働時間。業界の外で起きていることが、翌年の受注条件になって戻ってきます。

この往復を毎回やる。それがBPJの独自性です。業界紙のように内側だけを見ず、経済メディアのように上空だけを飛ばない。刷り場の床の高さから世界を見上げ、世界の高さから刷り場を見下ろす。

数字は、自分で取りに行く

BPJの記事には数字が多いと思われているかもしれません。実際、多いです。ただ大事なのは量ではなく、どこから取ってきたかです。

市場レポートでは、日本銀行の企業物価指数を系列コードごとに毎月取得しています。たとえば直近の月は、印刷インキが前年同月比プラス13.8%、非塗工印刷用紙がプラス6.2%。一方で売る側の平版印刷物はマイナス0.2%でした。仕入が上がって売値が下がっている。この差はどこかが飲んでいます。

経済産業省の生産動態統計から印刷業の生産金額を部門別・方式別に、厚生労働省の毎月勤労統計から印刷業の賃金と労働時間を、米国労働統計局から生産者物価と雇用を、国連の貿易統計から紙と印刷物の輸出入を取っています。

そして——ここが一番大事なのですが——統計が出ていない月には「出ていない」と書きます。 埋めません。数字がない月は、その事実ごと読者に渡したほうが誠実だと考えています。

これから直していくこと

ベータ版を出し続けて、足りないところがよく見えました。正直に書きます。

記事が似てくる問題。 毎日書いていると、同じ結論に着地する癖が出ます。実際に測ったところ、公開記事の3分の1が同じ話をしていた時期がありました。いまは記事どうしの内容の重なりを機械で測り、しきい値を超えたら書き直す仕組みを入れています。これからも測り続けます。

読みにくい記事。 1文が長い、専門語の説明がない、結論が遠い。これも実際に採点して、基準に届かない記事を書き直しました。今後の記事は「1文60字以内、結論は最初の3段落以内、専門語は初出で定義する」という規則で書きます。

情報源。 登録している情報源は現在141。今後も増やし、質の低いものは外していきます。一次情報(公的統計・企業の開示)を増やし、二次報道への依存を減らす方向です。

記事も情報源も、これからも適宜、改善と更新を続けます。

編集チームについて、ひとつお願い

BPJの編集は、多様な背景を持つ人とAIの組み合わせで動いています。日本語と英語を行き来しながら作っているため、言い回しが不自然な箇所や、読みにくい表現が残ることがあります。

そこは、どうか許してください。

そのかわり、事実と数字については手を抜きません。出典は記事の末尾に付け、確認できていないことは「確認できていない」と書きます。表現の粗さは直していきますが、根拠のない断定はしません。

正式版へ

次の号から、BPJは正式版になります。号数は「BPJ β-」から「BPJ 0001」に変わります。

購読は月3ドルです。全記事の全文、特集記事の保存版図解(数字ひとつずつに出典つき)、そして新着号が読めます。いつでも解約できます。

ベータ版に付き合ってくださった方、招待コードで読んでくださった方、ありがとうございました。ここから先も、印刷を通して世界を見ていきます。


編集長 奥 武士(株式会社文星閣)

Beyond Printing Journal — 印刷から世界を読む。未来を刷る。

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